ライブ販売とは?
日本ではライブ販売という言葉はあまり馴染みがないが、ライブ販売(またはライブコマース)は、タレントやインフルエンサーがライブ配信し、リアルタイムで質問を受けたり、それにコメントしたりしながら商品を販売するサービスである。これが今中国でかなり流行っている。

2019年中国独身の日1日(11月11日)だけで、タオバオライブで3000億円以上売り上げるなど巨大な市場に成長している。(写真は独身の日にライブ販売のためにアリババ本社に作られた特設ブースである。)
ライブ販売では、パンやそばから、ロケット、ロールスロイス、ルイ・ヴィトンまで扱っている。
ライブ販売の歴史
ライブ販売の歴史を紐解くと、それは2013年まで遡る。その頃中国では4Gが普及し、通信速度が早くなったことでテレビ電話が普及した。これを受けて、2014年くらいからライブ配信のプラットフォームが出始めた。ブームになったのは2016年頃である。

ライブ配信はゲーム、ニュース、アニメなど、それぞれの分野に特化したライブ配信を行うものである。立ち上げのハードルが低かったので、たちまち100種類以上ものライブ配信が登場した。
そんな中で数百万人、数千万人のフォロワーがいるインフルエンサーが出てきた。美人インフルエンサーが化粧の方法を紹介しながら協賛メーカーの化粧品を紹介したり、人気ゲーマーが協賛ゲーム会社の新しいゲームを紹介したりといったように、人気インフルエンサーは企業から協賛を受けて宣伝活動を行う。
しかしメーカーから多額の協賛をもらう有名インフルエンサーがいる一方で、数万人くらいしかフォロワーがいない弱小インフルエンサーは、大きな協賛もつかないので、困っていた。そこでこうした弱小インフルエンサーが始めたのが、ライブ配信でものを売る「ライブ販売」だった。ライブ販売の登場である。

ライブ販売が登場すると、消費者もそこでものを買うようになった。背景にあるのは微商(べいしゃん)というwe chatのサービスの普及である。微商は個人が消費者とコミュニケーションを取りながらものを販売するサービスである。これが元々普及していたので、これと似た販売形態のライブ販売が受け入れられた。
そんな背景もあり、すぐにライブ販売は広がった。そして、大手のタオバオやTmallなどもライブ販売に進出するようになった。
今やライブ販売は記録的な販売額を打ち立てるまでに成長してきている。有名電気メーカーのCEOがライブ販売を行うと、30分で1億元(15億円)の商品が売れたり、人気インフルエンサーが口紅を売ると、5分間で1万5千個の口紅が売れたりしている。このように、実店舗ではなかなか実現できないような売上が、ライブ販売では短時間で実現できる。こうして、ライブ販売は事業者から見た時に、重要な販売チャネルの一つに成長した。
ユーザーベネフィット
反対に、消費者から見た時にも、ライブ販売はメリットがある。
リアルタイムで販売者とコミュニケーションできるので、安心して買える。
使い方をリアルに見せてくれるので、イメージしやすい。
同じ物が他より安く買える。
プレゼントがもらえる。
タイムセールがあったり、特別クーポンがあったりする。
などだ。
ライブ販売では安価なものが売れる

ライブ販売ではどのようなものが売れるのだろうか?
売れ筋商品を見ると、60元(904円)を超える商品はたったの10%しかない。売れ筋は安価な食品、飲料、美容関連、アクセサリー(服、カバン、靴など)、寝具などだ。人気インフルエンサーも、商品を選ぶ時に、価格が安く、購買に躊躇しないものを選ぶようにしている人が多い。
日本でのライブ販売
日本でも、コロナ後のニューノーマルで、ライブ販売が流行るのだろうか?
日本にもメルカリが立ち上げたライブ販売「メルカリチャンネル」(2017年12月1日登場)があった。残念ながら、2019年7月8日にサービスを終了している。
日本に中国のライブ販売をそのまま持ち込んでも、流行らないのかも知れない。
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