網紅(ワンホン)ブームと名媛(ミンユアン)
中国の網紅(ワンホン)ブームはご存知だろうか?ネットセレブブーム、そんな感じの表現が合う。ポイントはリアルなセレブではなく、バーチャルなセレブでも良いことだ。高いホテル、高級な装飾品、豪華な食事など”インスタ映え”だけを狙った写真をSNSにアップする。それが最近流行っている網紅(ワンホン)ブームだ。
そんな網紅(ワンホン)ブームでキーワードになっているのが名媛(ミンユアン)だ。名媛(ミンユアン)とはもともと”良家のお嬢さん”の意味だが、今は容姿がきれいで、かつ自分の努力で高い地位を勝ち取った女性のことを指す。男性から見たら憧れの的である。
ある名媛(ミンユアン)コミュニティの実態
しかし、この名媛(ミンユアン)に関して最近面白いニュースがシェアされた。「名媛(ミンユアン)コミュニティに参加してみた結果」というニュースである。
このニュースで取り上げられている人物は、500元(約8000円)払って名媛(ミンユアン)のWe Chatグループに入会した。左の画像がそのグループのサムネイルである。
魔都名媛(モートゥーミンユアン)という名前のグループで、魔都(モートゥー)は大都会の意味。なんとなく都会の名媛(ミンユアン)が集まっていそうな期待感がある。
やがてこの人物は、魔都名媛(モートゥーミンユアン)の実態が、本当の名媛(ミンユアン)ではなく、SNS上で名媛を演じるグループであることに気付く。
左のチャットは魔都名媛(モートゥーミンユアン)に所属している女性の会話だが「6人でザ・リッツ・カールトンの二人前のアフタヌーンティーをシェアした」「40人でブルガリの客室をシェアした」「エルメスのバックをシェアした」「グッチのストッキングをシェアした」といったことが話されている。
日本でもシェアリングエコノミーが話題だが、まさに名媛(ミンユアン)を演じるために、高級品や高級サービスをシェアリングしているのだ。
彼女達の目的は、名媛(ミンユアン)を演じてSNSに写真をアップすることだ。もちろん、これを見て、本当のお金持ち男性からオファーがあればしめたものだ。
同じ場所で複数の人が網紅(ワンホン)写真をアップ
名媛(ミンユアン)は女性だが、男性でも同じようにお金持ちに見せかけてSNSにアップすることがブームになっている。以下の写真は上海の高級喫茶店だが、まったく同じ注文内容で異なる人が写真を撮り、SNSに上げていることが分かる。
網紅(ワンホン)ツアーも登場
このブームに乗じて、左の写真のようなサービスも出てきている。例えば左上は東京タワーが写っているが、東京タワーの見える豪華なホテルで、豪華な朝食を食べながら、新聞を読んで情報収集する「俺」を演じてSNSにアップすることができるのだ。料金は100元(約1500円)。
バーチャルを楽しむ
最近AIを使ったディープフェイクが話題であるが、ディープフェイクとはAIの学習機能を使って違う人の顔などの画像を合成する技術だ。これは犯罪に使われる危険性が指摘され、逮捕者も出たりしているが、そもそもネットの世界はそういうものかも知れない。網紅(ワンホン)のブームを見ていると、そもそも一般人が”嘘も含めてネットを楽しんでいる”ように見える。網紅(ワンホン)ブームは”ネット上の遊び”という要素を多分に含んでいる。
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