サーモンからコロナで北京が大騒ぎ

最終更新: 6月15日


 6月13日、北京市では2日連続で新たな新型コロナウイルスの感染者が確認された。そして、感染源を調べる中で、北京最大の農産品卸売市場である新発地市場で、輸入サーモンを切るまな板から新型コロナウイルスが検出された。これを受けて北京の主要なスーパーマーケットである超市発、物美、カルフールは、同日夜からすべてのサーモンを売り場から撤去した。今後、この影響は海鮮を扱う飲食店などにも波及するだろう。


 中国のサーモンは、ほとんどがノルウェー、チリ、オーストラリア、カナダから輸入されている。毎年輸入される冷凍魚介類は8万トンである。


 事件を聞いた消費者は不安になり、サーモンや冷凍肉を購買する時には、何を注意すべきかが話題になった。


 現時点では、コロナウィルスはコウモリ由来であり、人間との接触が薄い魚介類が感染源である可能性は低いと言われている。しかし、魚介類が感染源でないとしても、サーモンの表面にウイルスが付着する可能性がある。WHOのデータによると、コロナウィルスの一つであるSARSやMERSは低温下でも生存できるので、今回のコロナウィスルも低温で生きられる可能性がある。コロナウイルスは接触感染するので、冷凍された魚介類の表面で生存できるのであれば、そこから感染が広がる可能性がある。


 実は、コロナウィルスがどのような環境で生き延びるのかは、まだよく分かっていない。先ほど、低温に強い可能性があると書いたが、高温多湿にも強いというデータがある。今年4月、アメリカのJAMA Network Openの研究によって、中国江蘇省の銭湯で、一人のコロナ感染者から8人に感染したという事実が明らかとなった。当時浴室内の温度は25°Cから41°Cの間で、湿度は60%あった。


 このように、現時点ではコロナウィルスの特徴を全て把握できていないため、冷凍食品を介して感染する可能性を排除することはできない。コロナウィルスは平らな表面で生存期間が長い。鉄やブラスチックの表面だと7日間、ガラスやお札の上だと4日間、医療用マスクだと7日間くらい生存する。


 感染経路の情報も分かっていない。新発地市場で、コロナウィルスの感染者がサーモンを扱ってウィルスが付着したのか、それとも輸入前や輸入中にウィルスが付着したのかも分からない。


 コロナウィルスは、誰に原因があるかで米中が口論になるほど、デリケートな問題になっている。しかし、現状を見ると、そう簡単にウィルスの発生源や感染メカニズムを明らかにすることはできなさそうである。


 写真は海産物を扱う中国の小売店。中国では、基本切り身で魚を売らない。このように丸一匹の単位で販売する。したがって切り身よりは手からの感染リスクは少ないとみられる。





 写真は筆者の天津に住んでいる友人が送ってくれたSNSのスクショである。日本で言うところの町内会が発信したメッセージである。天津は北京に隣接している。


 「5月12日〜6月12日の間、北京に行ったことがある人、その中で、特に豊台区、海鮮市場に行った人がいたら、すぐに返信してください」という内容が書かれている。北京のクラスター発生を受け、地域単位で調査が進んでいる。




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