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執筆者の写真CB編集部

中国の田舎で外壁だけの家が増殖中

 中国の田舎で、面白い現象が起きている。大きな家がよく建てられるのだが、外壁だけが出来上がっており、人が住んでおらず、内装工事も完成していないという現象だ(写真)。

 なぜこのような現象が起きるのか?大金を払って家を建てたのに、中途半端に建設をやめて、なぜ住まないのか?それにはいくつか理由がある。

  • 息子が結婚する時に内装する習慣がある

 田舎の地域では、家を建てるのは自分のためではなく、子供、特に息子のためである場合が多い。内装をしない理由は、親と子供でデザインの好みが違うかもしれないし、そもそも息子の嫁が気に入らないかもしれないからである。田舎の地域では、家を提供するのは普通男性である。したがって、息子が結婚する時まで内装をしないことが多い。

  • 出稼ぎしている人はすぐに内装工事をする必要がない

 田舎の人達は、稼ぐために都市部に出稼ぎに行く人が多い。そこに住んでいないので、当面中身はいらない。最近は材料代も値上がりしており、10年前と比べると約3割ほど値上がりしているので、外側だけでも早めに建てた方が良いという心理が働く。出稼ぎに行っている人は、1年に1回、旧正月の時期だけ帰ってくるので、とりあえず古い家具だけ並べて生活する人も多い。稼ぐ能力があるうちにまず外側を作って、地元に戻ってきたら内装をしようと考えるのだ。

  • ステイタスシンボルのために家を建てる

 田舎の地域では、家を建てられる人は成功者だ。しかも何回も建てられる人はさらに成功者と見られる。そういった背景から、面子(めんつ)心理が働き、何回も建物を建てる人がいる。居住実態や内装な豪華さよりも、まず「箱物」を建てた事実がステイタスシンボルになるのだ。

  • まずは外側を作るためにお金を貯め、内装や家具はまた稼いでから

田舎では、家は自分のお金だけで建てる人が多い。ローンは組まないのが普通だ。1軒家を建てたら、財力も無くなるので、内装に回すお金も無くなってしまう。まずは外側を建てるために貯金し、家が建つたらまたお金を貯めて、内装や家具を買う人も多い。


  • そもそも内装にお金をかけない文化

 田舎の人たちは素朴な人が多く、住めれば十分と考える人も多い。内装に大金をかけるまでもないと考える人が多いのだ。外観が豪邸のように見えても、内装はシンプルな家も多い。

 いかがだろうか。面子のために家を建てる、お嫁さんを迎えられるように息子のために家を建てる、外側だけ建ててから内側のお金を稼ぐなど、どれも人として共感できることばかりである。文化の違いとして片付けてしまえばそれまでだが、人間そこまで理解できないことはしないはずというのもまた一理である。


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