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ロックダウンで体操配信が社会現象


 世界的に有名になったが、中国の上海ではゼロコロナ政策によって、長いロックダウン生活が続いている。そんな中、この特殊なメンタリティが背景になったと思われる社会現象が起きた。TikTok(中国でのサービス名は抖音=どーいん)の体操アカウントの爆発的な広がりだ。

 このTikTokアカウントを運営しているのは刘畊宏(りゅうがんほん)という中国の芸能人である。元々台湾出身で、ロックダウンの前に上海にやってきた。刘畊宏は元々体操のインストラクターもやっており、みんなを盛り上げるトークもお手のものだ。

 このTikTokは最初から体操をテーマにしていた訳ではない。もともと、2020年8月時点で100万人くらいのフォロワーがいるアカウントだったが、2022年2月18日に初めて夫婦で体操するライブ配信を行なった。





急速に伸びる視聴者数とフォロワー数

 そうした所、初日は約25万人が視聴し、約8000人フォローワーが増えた。6日後には視聴者が約100万人となり、フォロワー数が約6万人増えた。

 急速に有名になったアカウントだったが、逆に目立ちすぎたのか、露出が多すぎるという理由で、4月5日、6日のライブ配信は途中でバンされた。刘畊宏のスタイルはタンクトップで踊るスタイルだが、脇の毛が下品、胸の筋肉が強調されていて下品というのがその理由だったようだ。

 そこで次のライブ配信ではダウンジャケットを羽織って登場。「我々の真似はしないでね。我々は自分を守るためにやっているだけだから。」と言いながら踊ったところ、更に話題になり、またフォロワーが増えた。


このアカウントがバズった背景心理

 ある記事はこのアカウントがバズった心理を次のように分析している。ロックダウンの中でみんな鬱々とした気分で生活している。そんな中、この夫婦のチャンネルを見ると、まるで太陽に照らされたような気分になる。刘畊宏は元々インストラクターをしており、体操の指導はポイントを突いていてとても解説がうまい。また軽いジョークを挟みながら、みんなをリラックスさせる。これがプラスの気分になるので、ロックダウン下の状況で一気に広がったというものだ。


上海だけではない広がりを見せる社会現象

 このアカウントがバズっているのは上海だけではない。既に中国全土に広がっている。まさに社会現象だ。

 フォロワー数は、2022年5月22日時点で既に約6900万人。ライブ配信の時間を楽しみにしていて、時間になったら見る。一緒に運動する。友達も誘う。こうした正のスパイラルが起きていて、どんどんフォロワーが増えている状況だ。


ライブ配信疲れも背景にある

 中国では一時期ライブ配信がブームとなり、ライバーも爆発的に増えた。しかし今は少しライブ配信自体が飽きられてしまっている。ライバーの売上が落ち、ライバーのフォロワー数も減少傾向だ。

 そんな中で出てきた刘畊宏のアカウント。今までに無いようなバズり方をしている。

 ライバーと言えば「案件」をやって広告宣伝をするイメージがついているが、逆にそれが「ライブ配信疲れ」にもつながっている。

 刘畊宏の特徴は、宣伝色を出さないで、あくまで「みんなで体操するアカウント」という姿勢。この姿勢が人気を博している。


今後のアカウント運営が注目される

 そんな中、5月20日に少し注目する動きがあった。5月20日は中国ではイベントデーだ。520(うーあーりん)の発音が、我爱你(うぉーあいにー=あなたを愛している)に似ている事から、パートナーに愛を伝える日となっている。この日には、様々な贈り物をする。

 この日に刘夫婦は贈り物をしあったが、これはスポンサーが提供したものだった。この時は自然な感じだったが、この様な色が強くなると嫌われてしまうだろう。これからのアカウント運営が注目される。









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